logicの使いこなしは、だいぶましになって来たし、あんな事も出来る!こんな事も出来る!って今はイメージの構築を咲咲のMIXをやりながらイメージはどんどん自由になり、作りかけの曲達は今年中はまだいじれないけど、お正月休みが5日くらいとれそうなので、そこからが創作活動が本格的にスタート出来る。一昔前はいろんな事が同時進行出来ないでいたけど、イベントやライブ、仕事もこなしながらも創作が自由に出来るようになった。楽しくなって来た!って言うのも今年は約一年がかりでlogicも含め勉強の年だった。何度か「俺の性格にDAWは合ってない!」と投げ出しそうになったけど、解説本を二冊いつでも読める所に持ち歩き三回しくらい読んだ。けどただ漠然と読んでるのはつまらないけど、こんな事が出来るとしたらどうしたらいいんだ?ってイメージと合致してくるとスーッと頭にはいるようになって、良いタイミングで咲咲のMIXの依頼でその頭で構築してた操作のイメージを試す事が出来て、難しく考えてる事が分かり、そこからはスイスイ楽しくなって来たし早く制作に入りたいと思う。以前のアルバムは期間も決められての作業だったので、それはそれで良い集中力と良い意味のあきらめの作品だったけど、今回は時間にも縛られず自由なイメージでとことん自分と向き合えるので、どうなるかが自分自身楽しみでもある。
家出をする前に用もないのに大学に3年まで通ってた。福岡県の端くれの犀川町から一時間もかけて電車を乗り換えて通ってた。そんな朝の電車で同じ町出身の少女と仲良くなった。年ははっきり覚えてないけど、15、6才だっただろうか。少女の方から俺に話しかけて来た。当時としては珍しく髪は金髪に染め上げ、つけまつげに目張りがバシッと入り指にはリングのタトゥー。少女も同じ小倉までの電車だった。俺の少女への最初の印象は良くなく、タバコをふかした不良少女で目つきは凄みがあり誰も寄せ付けないようなオーラだった。少女の視線は気になってたけど関わりたくない感じの子だった、何をきっかけで話しかけられたかは覚えてない。そうだ同じ時期にとなりの駅から乗り込んで来るOLさんにも話しかけられ友達になった。そのOLさんはパリっとスーツを決めて長い黒髪をなびかせてた、年は当時28くらいだろうか。俺の事をOLさんは「ゆうすけくん」金髪少女は「あにき」と呼んでた、そんな三人で小倉まで電車に揺られた。俺はOLさんの仕事も知らない、また少女が学校もいかず毎日何をしに小倉まで通ってるのかも知らない。その朝の電車だけのつながり、もちろん少女が乗ってこない時もあったしOLさんが乗り込んでこない事もあった。そんな時は風邪でもひいたんだろうかって心配になったりした。そんな関係がどれくらい続いただろうか?少女が自分の事を話し始めた。俺に心を開いたのだ、、、悲惨だった。親からの暴力、学校にもなじめず、先生からは学校に来るなと言われ、お小遣いももらえない、などいろいろ悲惨な話を涙ながらに俺に話し出した。仕事もしない親父、暴力を振るう母親、よくよく話を聞くと少女は家族の生活費を稼ぐ為に体を売ってた、、、。親も承知の事だと言う。俺はただ絶句した。その告白からは一度もそんな話はしてこなかった、笑い顔がまだあどけなくかわいらしかった。俺には何でも腹を割って話してくれたし、俺は少女の仕事について何も深くは聞かなかった。そんな事辞めろ!とか体を大事にしろ!とかそんな誰もが言いそうな言葉はかけたくなかったし、俺にそんな事言えるような簡単な事でもなかった。
そんなある日少女が今日は誕生日だと言う。そんな日にまで街角に立つのかと俺は虚しくなった、それまでは駅に着いて改札を抜けるとそれぞれバラバラに別れていくんだけど、その日は俺は少女に「今日授業が16時に終わるので、時間あったら喫茶店でも行かん?」って誘った。少女は嬉しそうにうなづいた。そしてOLさんからこそっと預かったお金を忍ばして井筒屋のデパートに行った、そして少女と帽子を選んだ。「こんなの私ににあわんやろー」とか言いながらも二人で確か赤い帽子を選んだ。OLさんのお金と、当時引っ越しセンターのバイトで稼いだ俺のお金でプレゼントした。それから喫茶店へ行き満面の笑みで帽子をかぶり誕生日プゼントをもらったのは何年ぶりの事だろうって喜んでた。
その後OLさんが結婚する事になり電車だけの付き合いの俺にも招待状を渡された。少女はある日を境に姿を見かけなくなった。勿論携帯電話なんてない時代、連絡先なんて知らない。そして俺もまたOLさんの結婚式の返事もせずに、その電車から消えた。家出を決行したのだ。そんな電車での風景はなぜかモノクロでOLさんと少女の顔を思い出そうとしても必ずモザイクがかかってる。それぞれの人生のほんの一瞬の瞬きくらいの時間だったけど、良い時代だった。みんな真剣に悩み真剣に生きてた。
都会にひっそり咲く花。
まだ頑張ってる木。
さっさと冬支度してる木。
コントラストを気取ってる兄弟の木。
本当はこやしになりたかった子供。
とりでのような木。
道ばたに植えられた花を見て思い出した話だ。