2013年10月16日

少しかすんでた満天の星空。

ケータイが鳴った、今の時代大切な用件もメールで済ませLINEなんかで軽く言いたい事を言って楽しむツールで無料電話機能難を搭載してるアプリでつながってるからあまり電話として携帯が鳴る事は少なくなった。ので俺も起きたてだったので寝ぼけ眼でケータイを見ると登録されてない番号が表示されてた。セールスか?って羅列してる数字を眺めた、ん?二度見した。そこには見覚えのある数字が並んでた、「実家!」まぎれも無く二十歳で家出するまで過ごし10年前親子縁を完全に切ってしまった「実家」の番号が表示されてる。動揺した、その時は心のちっぽけな俺は出る事は出来なかった、けど動揺は続いた。結構長くコールは続いたが出る勇気はなかった、もう十年もお互い連絡も取り合ってなくお互い縁をきった親父とおかんのいる家の電話番号。それから落ち着かせる為にベランダで二度タバコを燻らせたコーヒーも入れ直して色んな考えが頭をよぎった、高齢の親父とおかん。まさか、、、、その間30分考えこれは今のお互いの立場や状況や見栄やプライドではなくコールバックしないといけないんじゃないか、いち人として。

意を決してコールバックした。聞き覚えのあるおかんの声が、約10年ぶりである「ゆうちゃん?嫌、実は、、、」その先は聞きたくなかったけど「うん」「元気しちょるん?」俺は「うん」。要するに内容は自分たちも高齢になり財産分与の事なんかをちゃんと話しあいたいとの事だった、俺は「俺にはそんな資格はない」と色々押し問答があり俺は「親父に変わって」そして親父とあ〜でもないこ〜でもないと10年前と何も変わらない親子であっても男同士のプライドがぶつかりあう。そして今の俺の新生活、一人のボッチ新生活の事を俺の従兄弟に聞いたと言われた。遺産相続を俺が拒否する事もそれはそれで容認した、大した遺産でもない事も言ってたけど、そうなれば小さな駅前の土地は街のものになるけど俺が拒めばそれはそれで承諾するだの、俺の実印が必要だの、何が必要だの実務的な話になってきた。それからはそれ以前の10年間のお互いの思いや今の俺の暮しや俺の価値観「碓井」への想い、以前綴った「ばぁちゃん」への思いやサインなんかを話してたら時間を忘れ一時間くらい話してた。

そこでふと俺は何かに導かれるように今日は休みだし明日は小倉で仕事だから「じゃあ今から帰るよ、18時か19時くらいには着くと思う」で電話を切った。それから俺は簡単な身支度を済ませ何も心の準備が出来てなかったけど無意識に阪急の地下で焼酎と有名なバームクーヘンを無意識に買い新幹線のホームに立ってた、三連休の最終日でホームはごった返してたけど、心は無の状態で今からの状況がいいのか悪いのかも分からず、気が付いたら玄関のチャイムを鳴らしてた、このチャイムにも色んな思い出が詰まってる、高校生の時に閉め出された時にこのチャイムを鳴らした、反応が無く庭の方に行くと俺の部屋が引っ越した後の様に何も無くなってた光景を思い出す、反応が遅い、、、すると勝手口のほうが空き「ゆうちゃんかい?」とおかんが現れ勝手口の方へ促された。10年ぶりの再会に俺は緊張してた、変わりない勝手口で靴を脱ぎ「ただいま」おやじは「おう」何事もなかったかのように晩飯の準備を始めるおかん「いつもはねぇもう17時くらいに食べるんやけどあんたが来るっちゅうけね待っちょうたんよ」とあの頃と変わらない台所で料理を始めるおかん「ビールは外の冷蔵庫に入っちょるけね〜」たしか親父は身体を壊して療養中だと従兄弟に聞いてた「親父飲む?」「おう、ちいさいの貰おうかのぉ」

俺はまずは仏壇に線香とバームクーヘンを備えたかった。仏壇にお供え物を起きローソクに火をつけて線香に火を灯しまいった。そして何事もなかったかの様に飯を食いおかんは俺の子供の頃の話を笑顔ではなし「あんたこうやったきね〜」遺産相続の話も何も出ず俺に今の状態に至るまでの話を聞いてた。結局俺だけ阪急で買ったちょっと高めな焼酎をのみ昔話に花が咲いた、けど俺の心は不安定だった、実の母親にあった事、従兄弟の事、今の俺の生活の状態になったこと、俺が思う全て俺が一才半で無くなったばぁちゃんが全てしむけてる事、虹になった少年と俺との人生の事なんかを話した。俺の10年前の気持ちも伝えたし親父の気持ちも聞いた、「おやじ、明日墓参り三人で行こうや」って俺が切り出した。結論から言うと俺はばぁちゃんが碓井の自分の息子含め孫を全て取りまとめてる気がした、いまはそんな何十年も不義理して来た息子達を偶然にも集めて同じお墓にこの1、2年で入ってる、東京や静岡や色んなとこからこの場所に帰らせてる気がした。俺はそんなばぁちゃんからすれば長男の子だ、これもきっと去年の墓参りから続くばぁちゃんのいい意味での策略何だろうって気がした。

気が付けばいつもは21時には寝てるおやじとおかんは0時を過ぎてた。俺はその日なにかまだ急に俺が帰って来た事の心の落としどころが見つからず結局布団に入ったものの寝れなかった、いつかまた同じ事を繰り返し親父達の考えに反旗をひるがえし、お互いにプライドかざし俺の心は窮屈になり何であのとき帰ってしまったんだろうって事を盾に取られ同じ事を繰り返すんではないだろうか?とか、この何十年も培って来た色んな事を思い出して寝れなかった。次の朝に俺からしたら早朝の9時には起き出した。親父には正直な今の俺の心の状態は話しておきたかった「今の生活になってまだ自分のペースも出来てないし押しつぶされそうな夜」「今日帰って来た事のこの10年のお互いの思いや事が心の整理も出来てない事」「けど電話もらって今日帰らないと、無視する事も出来たけど今時の俺の周りの一連の繋がりにうんざりしてた事とかも実はここにあって、良い事なのか失礼な事何かも心の整理がつかずに、これで帰らないともう帰るタイミングはないんじゃないかと思い帰って来たし一連の全てばぁちゃんがしむけて「碓井」をまとめてる」そんな事も話して午前中に墓参りに行った。当初かぁちゃんは遠慮してたけどおやじが促して小雨の中三人でお墓参りをした。ばぁちゃん凄いって思った。

15時代の電車で仕事に小倉へ向かう事を告げると墓参りの後帰って来て三人で昼飯を食べながらマカロニウエスタンの映画をみた。そうだ今だに親父は映画好きでWOWOWにも入ってる、おかんのみそ汁を10年ぶりくらいに味わった、あの頃と同じ味がしたけどおやじは文句をいってたけど心のこもった味だった。相変わらずおやじの前に登場する時は今だに俺は気にする事がある。目は死んでないか?ファションセンスはだ丈夫か?親父をうならせる容姿や表情をしてるか?ファションは足元からのセンスにみあった靴履いてるか?そんな親父の友達が俺をネットでみつけたらしい、って話になった時に俺のみんながみてるブログのアーティスト写真を見せて「これのこと?」って言ったらおやじは「おお、これはいい写真や現像しておくってくれ」って言われた。俺はただ照れるしかなかったけど。

時間が来た、この一日、一晩の事の終わりだ。この10年の空白やお互いの今の状態、駅まで車で送ってくれるって言って準備を始めたおやじの目を盗んでおかんが俺に綺麗に四つ折りされたお札を握らせる、俺はもういい年のおっさんである「いいよっいらん」、「ちゃんとおいしい晩ご飯食べなさい」、それから車の助手席に乗り込んでバックで15メートルくらい敷地内を下がるんだけど、今までは「じゃあおかんも健康でね!」なんて勝手口のなかで別れてたのが今回は表まで出て来てバックする間ずっと、それは小さい子供の今後を心配するかのような母親の顔でずっとバックする車の俺たちをみてる、初めての事だそんな顔。フロントガラス越しにあの頃から10年ふけたおかんが心配そうな何とも言えない表情でずっとみてる、俺は手を振った、手をふりかえすおかん、その表情は何とも言えずまた俺は手を振った、また手を振るおかん、結局三回手を振ったけど今までみた事のない心配そうなおかんの顔、今思い返すだけでも何の飾りや計算もない女のそれは美しい立ち姿と表情だった。

駅に着いた。駅前の自分たちの土地をみて説明されたけど境界線だのなんだの話半分くらいおかんの残像が残ってた、ロータリーでシートベルトを外すとおやじが「さみしくて辛い時にはいつでもちょっとでも帰ってこい、せっかく親子で生まれて来ていがみ合ってどうするかちゃ、金が無くなったらおかあさんに電話して助けてもらえ」

俺が今回一人になって新生活を送ってる事に対して、またこんな仕事してる事に対しても昔みたいに上から認めないおやじとおかんではなかった、アーティスト写真と一緒にCDも送ろうって決めた。車の中では我慢出来たけど、小さな変わってしまった駅のホームではおかんのさっきの顔とおやじの言葉に最近コンクリートでぬり固めていた心の部分が壊れて涙が止まらなかった。

少しかすんでた満天の星空。01.jpg

到着した時の夜の始まりの風景。


少しかすんでた満天の星空。02.jpg

昔は毎日通ってた線路の下の小さなトンネル。


少しかすんでた満天の星空。03.jpg

帰る時の反対側のホームと列車。


夜、庭でタバコを燻らせてるときみた満天の星空は俺だけかすんで見えたのかもしれない。


posted by usui special at 04:43| 福岡 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Twitterで実家に帰るとのつぶやきを見たときに連絡するか迷ってましたが、不幸のことだと悪いと思って連絡せず、でした。
親父さんの言葉で目頭が熱くなりましたが、今から仕事なのでグッと我慢しているところです。笑
USUIさんや親父さん、またお袋さんの気持ちを全部知ってるわけではありませんが、なんだかすごく安心というか暖かい気持ちになりました。
またアフターで話を聞かせてください!
10年ぶりの帰省お疲れ様です(^^)
Posted by ルイボス割り at 2013年10月16日 07:57
この10年も、今の俺の状況だから変化して行ってる気がする。これが美位の按配ってやつかもしれない。全てに意味があるんだって思う。
Posted by usui special at 2013年10月16日 17:10
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